七輪で陶芸

 七輪で陶芸を行う方法は、ネットでいろいろ紹介されています。ここでは、友人の須藤氏から教わったオカリナを焼くための方法を紹介します。

 須藤氏から教わってから自分で3回やった中の主に1回目と2回目を紹介します。


 七輪の上に直径30cm程の植木鉢を乗せます。七輪から少し間を置くために陶芸窯用の支柱を2本置いています。耐火レンガでも良いと思います。上の鉢は、浅いものにしてあります。上の鉢の穴は素焼きのかけらで塞いであります。また、下の鉢の穴も大きいタイプだったので、素焼きのかけらで少し狭くしてあります。

 炭は、大きなものは金槌やノコギリで小さくして入れています。作品は植木鉢の縁につかないように、炭で包まれるように置いてあります。須藤氏からは、作品はティッシュでくるんで傷がつかないようにすることを教わりましたが、火が早くまわるのを恐れてやっていません。


 七輪の炭にバーナーで火をつけています。この時の火の付け方の加減が難しいです。1回目の時は、一度火がついたのが、途中で消えてしまったりして、時間がかかりました。2回目は、バーナーで炭の火をおこしすぎたようです。下のほうにある炭一つに火がついているぐらいがよかったのかもしれません。1回目の時は、植木鉢の炭に回るまで1時間以上かかりましたが、2回目の時は、20分程で鉢の炭に火がまわってしまいました。


 2回目の時、あまりにも火のまわりが早かったので、一つは鉢を七輪から降ろしました。中からボンボンと割れる音が聞こえてきていました。

 

 1回目の時は、鉢のまわりに針金を上下二重に巻きました。しかし、2回目の時は上の方しか巻かなかったら、一つの鉢は、側面がボコんと割れて外れてしまいました。それをブロックで押さえています。


 鉢の炭に火がまわると、鉢の色が変わってきます。そして音を立てて鉢にヒビが入ります。上の鉢の穴から覗いてみて火が上の方までまわってきたら、上にかぶせてあった鉢を取ります。1回目の時は、この段階まで5時間程かかっています。しかし2回目では1時間半でこの状態になりました。早すぎです。1回目では、この状態になったらウチワで扇いでさらに火の勢いを強めました。2回目の時は、20分ほど様子を見てからウチワで扇ぎ始めました。ウチワで懸命に扇ぐと炭が白熱化しかなり温度が上がっていくことがわかります。炭が灰になって作品が姿を表したら、燃えている炭をかぶせるか、新たな炭を置いてやるかして、できるだけ高温の炭に作品が包まれている状態にすると焼き上がりが良いようです。


 オカリナと猿は私の作品です。土鈴は妻が作りました。頭像は中学校美術教師のA氏が作りました。オカリナは美濃赤という土です。オカリナは、生乾きの時になめらかな石で磨いてあります。猿はテラコッタ粘土です。紺色の布の上の作品は1回目の時のものです。1回目は時間がかかりましたが、一つも割れず、焼き上がりの色も良いようです。

 

 割れた作品については、次のような原因が考えられます。一つは、粘土の厚みがありすぎたこと。割れてしまった頭像は部分的に2cmほどの厚さがあったようです。オカリナも部分的にはそのくらいの厚さがあるのですが、十分乾燥してあったことも割れなかった要因だと思われます。割れた作品は乾燥は3日半でした。しかし、妻の作った土鈴は1日しか乾燥させていません。(電子レンジで最終的に乾燥させています)そのかわり厚さは均等に5mmほどです。

 

 もう一つは、火のまわりかたです。1回目は七輪から鉢の炭に火がまわるのに1時間以上かかりましたが、2回目は20分程です。私の頭像は鉢の下の方に入れていたので、火のまわりの早かったことが影響したようです。美術教師のA氏の頭像は3日程しか乾かしていなくて火のまわりの早い状況であったにも関わらず割れなかったのは、厚さが均等に1cm以下であり、鉢の炭の上の方に置いたことによると思われます。妻の土鈴も一番上に乗せてありました。猿は一番下に置いたのですが、割れなかったのは乾燥が十分で、くりぬきもよく厚さが5mm以下であったことが要因としてあると思います。

 

 焼き上がりの色が良いのは、白熱化した炭に囲まれていたからだと思います。1回目の時は、ウチワで扇いでいる時間もかなり長かったことと、最後は鉢をかぶせて放っておいた時間がかなりあり、鉢の内部の温度がかなり上がったのだと思います。鉢の色を比べてもらうとわかるのですが、カバーの鉢を外した写真を見ると、1回目と2回目では鉢の色の変わりぐあいが違うのがわかります。1回目のものは、全体に鉢の色が黒ずみ鉢全体に熱が伝わっていることがわかります。

 楽器として使えるオカリナを作るのは、簡単ではありません。私は慣れているので、短時間で作れますが、須藤氏が東京都の公開講座で行っているオカリナ作りは2日間かけています。上の写真は、中学校の美術部の生徒に作らせた鳩笛です。音階を調整しなくて良いので、歌口の作り方だけに気を配ればできます。鳩笛の作り方については、新たなページを作って紹介しようと思います。