最近読んだ本バックナンバー 2017年11月12月

 2017年の11月と12月分のバックナンバーです。

『荒くれ漁師を束ねる力』『バッタを倒しにアフリカへ』『孤独なバッタが群れるとき』『日航123便墜落の新事実』『爆発JAL123便』『墜落の夏』『隠された証言 日航123便墜落事故』『羆撃ち』を紹介しています。

「荒くれ漁師をたばねる力」を読む   11月

萩大島船団丸代表の坪内知佳さん(現在31歳)が書いた本です。

 24歳でシングルマザーだった坪内さんは萩で翻訳や企画の仕事をしていました。その時に偶然出会った漁師からの頼まれごとに応じたのがきっかけでどんどん大ごとにはまっていく経過が書かれています。

 知人が面白い本があると紹介してくれた時に、私はすぐにネットで注文して取り寄せ一気に読みました。

 萩大島の船団は巻き網漁で、主にアジやサバを獲っていたようです。昔は一晩で数千万円の水揚げがあった時もあったようですが、それが、近年は、水揚げが減っているとのことでした。この傾向は、日本の各地にも見られる状況のようです。

 漁師からの頼まれごとというのは、農水省が打ち出した「六次産業化・地産地消法」の認定事業に申請するための企画書作りだったのです。

 

 六次産業化という言葉はこの本で知りました。一次産業(生産)+二次産業(加工)+三次産業(流通・販売)までを一貫して行おうという計画です。巻き網漁で主として獲れるアジやサバに混じってスズキやイサキも獲れるのですが、それらは市場では一箱1000円程度の値段にしかならなかったようです。これらを直販できないかと当初は考えたようです。

 漁師たちは、難しい企画書を書いてもらうためだけに坪内さんに依頼したようです。しかし、坪内さんは、企画書を書くにあたって色々調べ、萩大島の船団が生き残るためには、このままでは本当にダメだと思うに至ったのです。そこで本格的に動くのですが、そこには旧態依然とした組織が立ちふさがります。漁師たちの中には、漁協に反発されてまでこの事業を進めるのはどうかと動揺が広がります。 

 坪内さんは、直販での販路を開拓する際に飲食店をいくつも断られながら回っています。その顧客担当を漁師にも任せようとしました。顧客を失っても人を育てるためにはそうするしかないと思ったようです。というのは、漁師は魚を獲るところまではプロなのですが、それを販売する心構えが無かったようです。獲った魚の扱いがいい加減であっり、クレームの対応に喧嘩腰になったりしました。123件あった顧客が60まで減ったと書いてありました。買う人・使う人の立場に立って魚を扱えるようになるまで時間がかかったようです。

 組織がうまくいくためには、人を育てることが大切です。このことを私はこの本を読んであらためて考えました。

「バッタを倒しにアフリカへ」の紹介

 先ごろ、前野ウルド浩太郎さんの「バッタを倒しにアフリカへ」の本が毎日出版文化賞特別賞を受賞しました。この本を私は出版されてすぐ今年の6月に読みました。「最近読んだ本」ではないのですが、とても良い本なので紹介します。

今でしたら、書店で平積みされていると思いますが、出版社などは次の通りです。

 

光文社新書「バッタを倒しにアフリカへ」

著者 前野ウルド浩太郎

920円+税

 

前野ウルド浩太郎

 昆虫学者(通称 バッタ博士)1980年秋田県生まれ。国立研究開発法人国際農林水産業研究センター研究員。神戸大学大学院自然科学研究科博士課程修了。博士(農学)。京都大学白眉センター特定助教を経て、現職。・・・本の後ろにある著者紹介より抜粋

 私は、5年前に前野さんの「孤独なバッタが群れるとき」を読んでいました。こちらの方は、実験の様子やデータも詳しいです。

「バッタを倒しにアフリカへ」の本は、読みやすく、理科大好き人間でなくても興味が持てる内容になっています。

 バッタを愛するあまり、緑色のタイツに身を包みバッタに喰われようとする姿の写真を見ると変人かと思いますが、地道な実験をコツコツと行い、モーリタニアの人からの信頼も集める誠実な人なのです。

 サバクトビバッタの群は大きいものでは東京都全域ぐらいになり、それが農作物や植物を喰い尽くしながら移動するのです。

 そのバッタがどこからどのようにして発生したのか、詳しいことがわかっていなかったのです。アフリカで腰を据えて研究する人が少ないということから前野さんは、アフリカのモーリタニアに向かうのです。

 バッタを倒しに・・・の本の面白さは、もう一つ「学者になるにはどのようにしたらよいか」が書かれていることです。この学者というのは、単に博士になるというのではなく、学者として生活していけるという意味です。このための努力については、私の知らない世界でした。将来科学者を目指す中学生や高校生にはぜひ読ませたい本です。

 前著の「孤独なバッタが群れるとき」は私が校長をしていた学校で、図書室で特別なコーナーを設けて生徒に宣伝しました。しかし、あまり読んでもらえなかったかもしれません。少々専門的な内容なので、手にとっても本の最初の段階でついていけなくなってしまう可能性がありました。

 しかし、今回の「バッタを倒しにアフリカへ」は違います。これはずっと読みやすいです。

もし、この本で興味を持たれた方は、「孤独なバッタ・・・」の本も読まれたら良いでしょう。こちらは実験をするということがどういうことかより詳しくわかります。

日航機123便の事故関係の本を読む

 友人から青山透子さんの「日航123便墜落の新事実」という本を紹介され、購入して読みました。

 

 いわゆる陰謀説というものなのですが、私は世事に疎いといいますか、そもそも陰謀説というものがあったことすら知りませんでした。読んでみて驚きました。青山さんは、憶測とかではなく、証言を丹念に集め、それに基づいて導かれる可能性について記述しています。ですから、導かれる仮説はとんでもない事にはなるのですが、説得力があります。少なくとも、事故調査団が出した報告書に対する疑問は湧きあがります。

 仮説は、無人標的機か練習用ミサイルがぶつかったというものです。

 乗客が撮った写真の中に、窓の外に小さな点が写っており、これを拡大するとオレンジ色の物体になるのだそうです。

 大型ジェット機を追尾していた2機のファントム機の目撃証言。

 大型ジェット機はアメリカ軍のC130輸送機ではないかという説もありますが、そもそもファントム機の発進は公式発表では事故後の時間になっています。

 現場にあったとされるタール臭はジェット燃料以外に証拠隠滅のための火炎放射ではないかという説は信じがたいものがあります。

 しかし、墜落直後から米軍や自衛隊が墜落場所を知っていたにも関わらず、混乱させるような間違った情報を流していたことは、疑惑を感じさせるものです。

 米軍がいち早くヘリコプターで到着したにも関わらず、日本側が救助を断ったというのもなんとも理解しがたいです。

 墜落直後に、正しい位置が速やかに伝えられ、米軍だろうが消防のヘリだろうが、可能な限りの救助を行ったら、機体後部に乗っていた人たちはもっと命を助けられたかもしれないのです。

 私は、青山さんの本を読んだだけでは判断するのに片手落ちかと考え、立て続けに他の本も読んでみました。

 圧力隔壁の破壊説を支持しているのが、加藤寛一郎さんです。この方の本は飛行力学をわかりやすく説明してくれるので私は「飛行の秘術の話」など他にも本を持っています。

 この本は、日航機の事故については、全体の4分の1ほどで、あとは他の事故について書かれた本でした。

 この本には、圧力隔壁の破壊から尾翼の破壊に至る経緯が説明されています。

 また、減圧があったにも関わらず操縦士たちは酸素マスクをしなかったため、低酸素症になったのではないかという説も書かれています。

 ただ、これらのことについては、青山さんの本だけでなく、藤田さんの本を読むと疑問に感じます。

 吉岡さんの本は、細かな記録に特徴があります。

 この本は、日航123便の事故について知る上では外せない本だと思います。

 ただ、遺体の記述など、生々しく読み続けるのに困難な思いをしました。

 藤田日出男さんは日航のパイロットだった人です。

 この方の説は、フラッター説と呼ばれるものです。また急減圧はなかった、つまり圧力隔壁の破壊ではないということを丹念に事実を積み上げて説明しています。

 私が注目したのは、ボイスレコーダーに振動による周波数変動が記録されていたということを突き止めたことです。

 また、2枚の方向舵が擦れたような跡があったことも指摘しています。(事故調査団はこれを問題にしていません)

 これらのことを考えると、圧力隔壁破壊よりもフラッター説の方が正しいと私は思います。

 ただ、発見された尾翼の残骸があまりにも少なく、事故調査団は海底調査も早々に打ち切っているのは、一番他への影響の少ない圧力隔壁破壊説を先に決めて、それに向けての調査報告を作り上げたと思われても仕方がないと思います。

 青山さんの本は今年の7月に出た本です。出た時に話題になったのかもしれませんが、知りませんでした。友人からの紹介がなければ、こんなに立て続けに関連本まで読むことはなかったでしょう。

 陰謀説なのかフラッター説なのか、圧力隔壁破壊説なのか、実際のところはわかりません。

 2015年に海底に日航機の機体の一部が沈んでいるのが発見されたが、運輸安全委員会は「すでに事故調査は終了しておりコメントは差し控えさせていただく」と述べたと青山さんの本に書かれています。これなども真実を明らかにしたくない力が働いているのではないかと思ってしまいます。

 真実は何か、正しいことは何かという目を多くの人が持つことは、日航123便の事故に限らず、まっとうな世の中を作る上では必要なことであると改めて思いました。

「羆撃ち」を読む

 「羆撃ち」は日本で唯一の羆撃ち猟師と言える久保俊治さんが書いた本です。今でこそ牧場を経営しており、歳も70歳になっていますが、この本に書かれた内容は彼が20代の頃のことであり、その時は、猟師だけで生計を立てていたのです。

 今年の4月にNHKの「プロフェッショナル仕事の流儀」で紹介されたようですが、私は見ていませんでした。ですから、何も知らず、たまたま書店でこの本を手にとってちらりと読んで見て面白そうだと買い求めたのです。

 私同様に久保さんについて知らない人は、ぜひ読んで見ることをお勧めします。また、テレビを見てご存知の方も、まだこの本を読んでいないのならこれもお勧めと言っておきます。

 「羆撃ち」は日本で唯一の羆撃ち猟師と言える久保俊治さんが書いた本です。今でこそ牧場を経営しており、歳も70歳になっていますが、この本に書かれた内容は彼が20代の頃のことであり、その時は、猟師だけで生計を立てていたのです。

 今年の4月にNHKの「プロフェッショナル仕事の流儀」で紹介されたようですが、私は見ていませんでした。ですから、何も知らず、たまたま書店でこの本を手にとってちらりと読んで見て面白そうだと買い求めたのです。

 私同様に久保さんについて知らない人は、ぜひ読んで見ることをお勧めします。また、テレビを見てご存知の方も、まだこの本を読んでいないのならこれもお勧めと言っておきます。

 「羆撃ち」は日本で唯一の羆撃ち猟師と言える久保俊治さんが書いた本です。今でこそ牧場を経営しており、歳も70歳になっていますが、この本に書かれた内容は彼が20代の頃のことであり、その時は、猟師だけで生計を立てていたのです。

 今年の4月にNHKの「プロフェッショナル仕事の流儀」で紹介されたようですが、私は見ていませんでした。ですから、何も知らず、たまたま書店でこの本を手にとってちらりと読んで見て面白そうだと買い求めたのです。

 私同様に久保さんについて知らない人は、ぜひ読んで見ることをお勧めします。また、テレビを見てご存知の方も、まだこの本を読んでいないのならこれもお勧めと言っておきます。